手嶋龍一の新著『ライオンと蜘蛛の巣』が、このほど幻冬舎から上梓されました。新しい本のタイトル『ライオンと蜘蛛の巣』は、「インテリジェンスのかぼそい糸のネットワークは百獣の王をも捕らえる」という意味をこめてつけました。
インテリジェンスの蜘蛛の巣に導かれて、著者が旅した世界各地の二十九の街で起きた出来事が綴られています。一風変わった旅がしたくなった―。そんな読者の皆さんのために、旅先の物語、二十九篇が綴られています。著者が旅の途上で出会ったちょっぴりエキセントリックな人々を少しだけご紹介しておきましょう。
かつてミケランジェロが手がけた僧院のホテルに長逗留していた野性味溢れるジゴロ。アイルランドの崖の上で孤独に耐えて暮らす、あの冷たい戦争を戦ったインテリジェンス・オフィサー。生涯をかけて追い続けた寒い国のスパイをバラの名札に刻んでいつくしむ年老いた英国のレディー。泊り客に一切の香りを封殺するように求めるマナーハウスの主人―。
それぞれの人生が静謐な筆致で描かれています。「小説のような―」と思われるかも知れませんが、作品のなかではすべての人々が実名で登場するリアル・ドキュメントです。ふと思い立って、自分もかの地に出かけてみたいと思う読者のために、タムラフキコさんの筆になる素敵なイラスト入りの道案内もつけてあります。