インテリジェンスの蜘蛛の巣に導かれて、著者が旅した世界各地の二十九の街で起きた出来事が綴られています。一風変わった旅がしたくなった―。そんな読者の皆さんのために、旅先の物語、二十九篇が綴られています。著者が旅の途上で出会ったちょっぴりエキセントリックな人々を少しだけご紹介しておきましょう。
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かつてミケランジェロが手がけた僧院のホテルに長逗留していた野性味溢れるジゴロ。アイルランドの崖の上で孤独に耐えて暮らす、あの冷たい戦争を戦ったインテリジェンス・オフィサー。生涯をかけて追い続けた寒い国のスパイをバラの名札に刻んでいつくしむ年老いた英国のレディー。泊り客に一切の香りを封殺するように求めるマナーハウスの主人―。 |
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それぞれの人生が静謐な筆致で描かれています。「小説のような―」と思われるかも知れませんが、作品のなかではすべての人々が実名で登場するリアル・ドキュメントです。ふと思い立って、自分もかの地に出かけてみたいと思う読者のために、タムラフキコさんの筆による素敵なイラスト入りの道案内もつけてあります。 |
インテリジェンス小説『ウルトラ・ダラー』(新潮社)を出版して以来、読者の皆さんと交流を深めるため、著者のオフィシャルサイトに「スティーブンズ・クラブ」を設けています。そのなかのお便りのコーナーに、或る日、こんなお手紙が舞い込みました。
「六本木のけやき坂を歩いているとイギリス人らしい男性が皆、英国秘密情報員に見えてしまいます。すべては、スティーブン、あなたの責任です。その筋の人とかたぎの人の見分け方を教えてください」―。 |
お手紙には「知りたがり屋のジョージアより」と記されていました。『ライオンと蜘蛛の巣』には、著者から「知りたがり屋のジョージア」へのお便りもしたためてあります。どうぞ、週末の雨の夜に、モルト・ウィスキーでも傾けながら『ライオンと蜘蛛の巣』のページを開いてみてください。そして、アーム・チェアーを揺らしながら、フィレンツェ郊外のフィエゾレやアイルランドのディングル半島への旅を存分にお楽しみくださいますように。 |