『 葡萄酒か、さもなくば銃弾を 』(講談社刊)を上梓するにあたって取りあげた二十九人の顔ぶれを眺めていますと、やはり深い感慨を覚えざるをえません。「冷戦の戦士」といわれたジョン・フォスター・ダレスとダラスで凶弾に斃れたジョン・
F ・ケネディを除いた二十七人は、お付きあいに濃淡の差こそあれ、いずれも忘れえぬ人々ばかりです。
「ツルゲーネフの小径」と呼ばれるドイツ・ボン郊外の森の中で出遭った、冷戦の語り部ハンス=ディートリッヒ・ゲンシャー。「ブッシュの戦争」に立ちはだかったフランスの外相ドミニク・ド・ヴィルバン。「衝撃と恐怖作戦」を引っさげてイラク攻撃を主導したアメリカの国防長官ドナルド・ラムズフェルド。
外交ジャーナリストとして現代史が誕生する瞬間に立ち会ってきたことを幸せだと思います。同時に現場に居合わせた者の責任の重さをいま痛感しています。