―このままでは日本人は国際社会に取り残されるのでは。
紺野 一昨年、ベトナムを訪問し、炭鉱を見学してきました。現在もベトナムでは主要なエネルギーは石炭であり、炭鉱も大きな役割を担っています。今、ベトナムの炭鉱には、日本で働いていた安全管理の専門家が何人か派遣されています。
炭鉱事故の教訓を生かし、多くの方の犠牲のもとに培われた日本の技術が世界で生かされている、その現場を目の当たりにして、非常に感動しました。これこそ日本の誇るべき技術協力ではないかと。日本は良いことをしていても、あまり知られていなかったりするんです。
手嶋 日本が大国であるのは事実ですから、先導者としての役割を担って然るべきです。日本が戦後、経済
大国になる過程で得た知恵や経験を、積極的に生かしていくべきだと思います。
紺野 私自身も含め、日本はもっと自信を持てと。堂々と、なおかつ謙虚に。日本人はへりくだる癖がついていて表現が下手ですね。「もっと堂々としなさいよ」と自分自身にも言い聞かせているのですが。
手嶋 紺野さんはしきりにご謙遜されますが、ご自身が果たしている役割の大きさに、もっと自信をお持ちになるべきです。
ベトナムの大きなプロジェクトに、日本は多大な資金援助をしています。しかし、肝心のプランニングは米国の大学がやっているケースが多いため、現地の人たちは米国にばかり感謝の意を表しています。ベトナムは経済大国になりつつありますが、そのインフラの重要な部分は、日本の納税者が貢献していることをもっと誇りに思ってよいはずです。
紺野 訪問先の世界各国で日本人に出会います。国連やNGOの人であったり、ボランティア活動をしている人であったり。
手嶋 そういう人たちが日本、そして世界を変えてくれると信じています。静かだけれども確かな変革が起きているのです。
政府やメディアに頼っても世界は変わりません。国際社会の一員となるためには、地球上のどこかで起こっている不条理を、自らの悲しみとして受け止める人々が現状を変えることがいちばんの近道ではないでしょうか。そういうきっかけを育む場所として、大学をはじめとする教育機関はかけがえのない存在です。若い人たちには世界との関わりのなかで自分を変えていってほしいと思います。
紺野 今日の手嶋さんのお話から、たくさんのエネルギーをいただきました。 |