中央公論2006年7月号掲載記事 麻生太郎外務大臣・手嶋龍一対談
『これが外交の品格だ』
掲載にあたって

 先日、麻生外務大臣と月刊「中央公論」で対談をしました。東京の外交サークルをはじめ、さまざまなところで波紋を投げかけているようです。ならば、「オフィシャルサイト」でもお知らせしなければと思い、記事をアップいたしました。

 反響のひとつをご紹介しておきます。あの「外務省のラスプーチン」こと佐藤優さんが「フジサンケイビジネスアイ」の2006年6月29日号に執筆したものです。題して「外務省国際情報統括官組織の限界」。さわりだけを引用してご紹介します。

 「今回の騒動(筆者注;テポドン騒動)における麻生太郎外相の反応は見事であった。

 北朝鮮が「テポドン2号」を発射すれば、日朝平壌宣言に違反することになるとの認識を表明した。この発言で、北朝鮮がミサイル発射を行えば、日朝平壌宣言に違反するので、日本政府は経済協力を行わないというメッセージが北朝鮮指導部に明確に伝わったと思う。「弱者の恫喝」で日本から譲歩を引き出すことができると考えていた北朝鮮当局に麻生外相は冷水を浴びせた。

 筆者が見るところ、麻生氏の頭作りは今回の騒動の前からきちんとできている。『中央公論』7月号で麻生氏は、元NHKワシントン支局長で外交ジャーナリストの手嶋龍一氏と対談しているが、ここに重要なやりとりがある。

 手嶋氏が

「まさに破られそうな『平壌宣言』を、しかもその中に拉致の問題が書かれていないものを出してしまった。当時よく一局長の責任に帰するような評論もありましたが、実際は総理と当時の官房長官が裏書きをして進めたわけです。そうした負の外交は、やはり広い意味で乗り越えられるべきだと思います」

と問いかけたのに対し、麻生外相は

「そうですね。『平壌宣言』というのは、破られればその段階でまったく別のものにならざるをえませんから。こちらとしてもその対応を考えざるをえません」

と答えている。朝鮮総連は日本の新聞、雑誌の北朝鮮関連記事を朝鮮語に翻訳し、解説をつけて平壌に報告しているものと思われるが、今回は『中央公論』に掲載されたこの重要なシグナルを見落としたのであろう。

 手嶋龍一氏は、ベストセラー小説『ウルトラダラー』(新潮社)で、北朝鮮がニセ札でウクライナからミサイルを購入しているという「物語」を提示したが、インテリジェンスや外交の専門家には同書で提示された内容が小説の枠に収まらないことはただちにわかる。筆者の理解では、北朝鮮の脅威に対する認識が不十分な日本人に対して、国際的なネットワークがインテリジェンス感覚に長けた手嶋氏を通じて警告を発してたのである。

 日朝平壌宣言に自縄自縛になって、日本の国益と国際社会の利益を毀損してはならないとの手嶋氏の指摘に麻生外相は、日朝平壌宣言を聖域視しないことを明らかにした。インテリジェンスのプロならば、日朝平壌宣言が北朝鮮による「弱者の恫喝」の道具となることくらい簡単に読み取れる。しかし、外務省が成果として誇る日朝平壌宣言を北朝鮮の対応如何によって反故にすべしということを、外務省傘下の国際情報統括官組織は口にできないのだ。

 政府機関がインテリジェンスの機能を十分に果たしていない状況では民間がその役割を担う。今回は、本来、外務省のインテリジェンス部局がなすべき面倒な仕事を手嶋氏が果たしたのだ。」

 私の役割をラスプーチンはこう述べていますが、私からコメントすべきことはとり立ててありません。それでは対談をお読みください。

 

 


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