手嶋龍一からのメッセージ
『汝の名はスパイ、裏切り者、あるいは詐欺師~インテリジェンス畸人伝』は、現代史を彩ったスパイたちの素顔を描いた書下ろしノンフィクションです。
「古今東西、稀代のスパイの物語は、どんな恋愛よりロマンチックであり、どんなミステリーよりスリリングである」
世紀のスパイ、リヒャルト・ゾルゲ、華麗なる二重スパイ、キム・フィルビー、稀代のハッカー、ジュリアン・アサンジ。彼らは、世界を揺るがす超一級の情報をいかにして手に入れることができたのでしょう。
情報源の懐にすっと入り込み、相手の信頼を勝ち得て、質の高い情報を引き出す能力――それは、結局のところ、その人物がどれほど人間的な魅力を備えているかに尽きます。21世紀、情報戦の主戦場がサイバースペースに移っても、最後の勝負は、濃密な人間同士のやりとりにいきつくのです。
サブタイトルになっている「畸人」は、俗にいう変人、偏屈者の類いではありません。世の中のさかしらな常識にとらわれない生き方で、人々を魅了してやまない「エキセントリック」種とも呼ぶべき人々です。
この本にはインテリジェンス界のエキセントリックたちが次々と登場します。英国エスピオナージ小説の巨匠、ジョン・ル・カレもそのひとり。そして、ル・カレが生んだ伝説のインテリジェンス・マスター、ジョージ・スマイリーの原像となった、ふたりの人物の知られざる実像も描かれています。二重スパイ、キム・フィルビーが生まれた背景には、アラビアのローレンスとともに「アラブの反乱」を戦い、とびきりのエキセントリックとして知られた父親の存在がありました。
「人間力を駆使して持ち帰る情報こそ、ダイヤモンドのような輝きを放つ」
パナマ文書に始まり、綺羅星のごときスパイたちの列伝を経て、サイバースペースの叛逆児ジュリアン・アサンジとエドワード・スノーデンの亡命劇まで。この本を読み通していただくと、「インテリジェンスとは、つまるところ人だ」という私の信念をわかっていただけると思います。ぜひご一読のうえ、ご意見をお寄せください。楽しみにしています。
手嶋龍一
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