手嶋龍一

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ノンフィクション作品

ウクライナ戦争の嘘 米露中北の打算・野望・本音

メッセージ

ウクライナ戦争の嘘

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 「ウクライナには21世紀の国際政局の活断層が走っている」。
 佐藤優さんと私は、20年近くも前からそう指摘してきた。ロシアとNATOの狭間に在って、ウクライナの政権はその時々、ヤジロベエのように揺れ動いてきた。鵺(ぬえ)のように捉えどころがない――我々がそう表現した国は、一貫して有力な兵器大国であっただけではない。その兵器廠からは新鋭兵器が密かに東アジアにも流れていた。黒海に臨むムィコラーイ岸壁に係留されていた空母「ワリャーグ」は中国の空母「遼寧」に姿を変え、巡航ミサイル「X55」も強権国家の手に渡っていった。
 “プーチンの戦争”は国際法に照らせば寸分の弁解の余地もない。だからと言って、ゼレンスキーの言い分に寄り添うだけでは悲惨な戦いは止められまい。ロシアとウクライナの苦境に耳を傾けて停戦の機を掴み、核戦争の芽を摘む方策を模索すべきだろう。これこそがG7の議長国にしてヒロシマ・ナガサキの惨劇を体験したニッポンの責務である。
 じつは、本書の出版は重大な危機に見舞われた。佐藤優さんが菌血症という病に襲われ、敗血症を発症しかけて命を落とす瀬戸際だった。幸い主治医の適切な判断で緊急入院して一命は取り留めた。そんなさなかも佐藤さんは本書のゲラに細かく手を入れ、この書だけは読者に届けたいと思ったという。そうした折に電話をくれ、「神はしばし自分に命を与え賜もうた。お前にはなお為すべき仕事がある。そんな思し召しなのだろう」と語った。
 インテリジェンスとは、動乱の時代を生き抜くため、選りすぐられ、磨き抜かれた情報をいう。インテリジェンスを武器にウクライナ戦争と台湾危機を読み解いた本書を一つの手がかりに、この国と東アジアの採るべき針路について深く思いを致してほしいと願ってやまない。

バフムトからの激戦の報に接しつつ
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